Category : Brass the others
1、ストレート ベルに直接取り付け、ベル(フレアー)との開口部(隙間)を小さくすることで直接音を抑え、またミュートを共鳴させることで弱音やサウンドエフェクトを得ることができます。ミュートの中ではジャンルを問わず最もよく使用(指定)され、一般的にミュートと言えばこのタイプを指します。メタル製のものは、硬質な線の細いサウンドから、強奏時に独特の鋭さをみせるところも特徴の一つ。老舗とも言える「トム クラウン」やその発展型とも言える「ジェミニ(=トム クラウン)」や吹奏楽などで定番の「デニスウィック」新勢力の「ヤマハ」「ジョーラル」等が、よく見かけるブランドです。 また材質もアルミ製をはじめ、ブラス(真鍮製)やコパー(銅製)など全体、一部分を問わず金属製が最も多く出ていますが、ニューストンラインのようなハードペーパー、またはウッド、プラスチック製の物もあり、メーカーの種類が最も多いのもこのタイプのミュート。したがってサウンドの好みで選びもしますが、どちらかと言うと、曲想にプレイヤーのセンスが大きくモノをいうところかもしれません。(とは、大袈裟ですが・・・)
ミュート(弱音器) ミュートとは、一般的には弱音器のこと。音を小さく(弱く)するためのもので、付ければもちろん音は小さくなります。その特性から考えられたものの一つが「プラクティスミュート」とよばれるもので、その効果を更に上手く活用したアイディア商品として(もうかなり以前の発売になりますが)ヤマハ「サイレントブラス」やベストブラスの「e-Brass」(現在ではその発展系のものを含め)などが、代表的なものと言えます。 かつてのような人気は全く言ってありませんが、先ほどの機能をPCなどとともに上手く使えば今でも十分楽しむ事ができます。ただ、録音機器や再生機器(の位置付け)が様変わりしているために「気軽に……」といえるかどうかはビミョーなところ。 しかし消音効果を生かしたプラクティスミュートの(潜在)需要は高く、いまさら新たなものも生まれてくる事もないでであろう……と思っていたところ、「オクラミュート」(ちょっと話題になっています)なるものが発売されたのは、ちょっとした驚きです。 弱音としての効果以外にも、いろいろな材質(アルミ、コパー、ファイバー等)や、種類(ストレート、カップ、ワウワウなど)のものが出回っていることから、音色に変化をつけるため(BEST BRASS社ではサウンドトランスフォーマーと呼んでいるようです)の役割も大きく、こういった意味合いでの使われ方がジャズシーンでは、よくなされています。 マイルスディービスがハーマンミュートを使ってボソボソとささやいているのが有名ですが、ミュートそのものが広まったのはもっと前の頃、20世紀最初のほうです。ただ、ミュートネーミング同様どう使うのかわからないのがちょっと悩ましいところかも・・・。 「生音、一番!」と言ってしまえばそれまでですが、専業のメーカーもあるくらいで、ブランドはもちろん材質や形など、こだわり深みにはまると終わりが見えなくなります。
2、カップ ストレートについでよく使用されるミュート。ジャズユースだとこっちの方の使用頻度が高いかも知れません。 ストレートと同じくベル中に入れて先端のカップの部分で音を受ける構造で、反射音とも言えるサウンドからストレートのような鋭さはなく、角の取れたトーンになります。また使用にあたっては、ミュートのコルク削ってベルとカップとの間隔を調整して使うのがポイント。(←自然とコルクがへたれてくるのと使用頻度の低さ、またはまったく気にしていないこともあって、ご存じの方もあまりいません) またカップ内の細工を工夫することにより、ジョーラルのように音質を調整できるものもあります。同じような考え方かどうか分かりませんが、NSLには、カップの縁をストレートにして、内側にフェルトを張った「ミカミュート」という用途不明のものもあります。 中には「デニスウィック」のようにカップ自体が調節可能な可動式のものもありますが、取り外して「ストレート」兼用ということではなく、あくまでも先程のような理由によるもの。カップミュートの代表的なものと言えば、先程出ましたが、クラシカルな分野で人気のある「デニスウィック」や細工は二の次、ペーパー系の独特のライトなサウンドが受けている「NSL」が一般的かと…。

3、ワウワウ 先端を手で開閉させ音色を変化させることから、このように呼ばれていますが、「ハーマン」と言ったほうがご存知の方も多いかもしれません。この手のミュートの代名詞は「ハーマン」、実はこれがメーカー名で「ワウワウ」がミュートの種類です。ベストブラス社製のものは「○○○さんのワウワウ」と言ってデビュー(現在は単に「ワウワウ」と言います)、ジョーラル製は桃のような特徴的な形で「ヴァブル」という商品名で販売されています。また真中の筒を取ると暗くコモったような音となり、どこかでよく聞くサウンドは、ジャズシーンでのトランペットではなくてならない必需品。この種類のミュートの使い手といえば、あのジャズトランペッターの巨人、M.ディビスが特に有名。 ワウワウの代名詞のように言われていたハーマンミュート。あの見慣れた形の他に、用途の似たようなものがありまして、大きな「鈴」のような形で、その名は「バブル」。なんかどっかで聞いた事のあるようなネ-ミングですが、(真ん中の芯を取って使う)ワウワウ特有のこもった、くらーいサウンドとは違い、(同じように取っても)少し輪郭がはっきりしたサウンドになっています。 ストレート(ミュート)ような芯が感じられますが、あくまでもモコモコ感(ワウワウミュート)を出ない範囲でのこと。ピッチも取り易いところから新しい楽しみ方が得られそうなミュート、お試しあれ。