長崎線に乗ってみた③

長崎線の面白さは長崎駅、でも今のじゃなくて地上にあった以前のもの。三角屋根(だったと思う)の駅舎も好きだったが、周りを山に囲まれて、すり鉢の底の部分にある長崎駅は、街並みがコロセウムのようで、特徴的な場所にある駅だった。終着駅にあってホーム数もそれなりにあり、ホーム平行の向こう隣に機関車の駐伯所、電留線、列車引き上げ線、隣に貨物ヤードがあってその横はもう海にべったり、めちゃめちゃ(幅が)広い。同じ終着駅でも枕崎駅は無人駅でホームが一本のみ、(今のように)きれいになる前は、遊園地の乗り場並みで、「ここまで来てこれ?」かって力が抜けた。それではいかにも・・・と思ったかどうかわからないが、10年くらい前に新たな駅舎が出来あがり周辺含めてきれいになっています。。カツオが有名で、おいしい一品を出してくれるお店もいくつかあるのだが、「端っこだ!」いうのもインパクトがないわけではないが、それだけでは、思うほどの賑わいにはならないようだ。
もう一方、最北端の稚内もホーム一本、駅員さん在中だが、夕方以降は無人で樺太航路があったであろうーなんて微塵も感じられない。扱いでいえばどちらも同じようなものだ。

さて世間並に自宅待機を守り、予想外出来事も重なったというF君が、久々にやってきてくれた。
「長崎に行ったんですか?」ーなんで?大村線のディーゼルカーの話?
「そうです。また電車乗りにですか?いいですねえ、楽しそうで。他にはどこ・・何に乗ったんですか?」ーところで、また意見を聞きたい「前みたいに(鉄道の将来性とかの)難しい話しじゃないですよね?ー鋭い!すぐわかるな、でも君には難しくもないし、まともに長崎線の話だ。
干拓防潮堤 雲仙岳と787系

「ああ、西九州新幹線ですよね、部分開業してチケットなんだとか?」ーそう、ちょっと旬な話題だ、でもそっちより在来線の方「在来線が何か?でもどうなるんですか?特急とか無くなりますよね?第三セクター、廃線ってことにはなりませんか?」
ー廃線にしたら新幹線が鳥栖でつながらん。あんまり聞かんが、上下分離らしい「上下分離?」ー電車はJR持ち、地上設備(線路とか)は管理団体(第三セクターとか)のような「へえ、動くんですね。肥薩オレンジ鉄道とかといっしょですか?」ー正確には知らん、でも普通列車がそれなりに走る。ところで長崎線の可能性について聞きたい「そう来ましたか・・・でも軽便みたいな話は出ませんよ」ーそれもいいが、それでは佐賀県知事の意向に添えん「また大袈裟な、知事の知り合いなんていないんでしょ?」ーあれは福岡、まあ同じだ。在来線でも十分長崎を感じられるという企画を考えてみた。「よくわかりません」-そりゃそうだな、まあ簡単に言うと博多と長崎を1時間30分にするっていう計画だ、もっと短くしたいが・・・。「今は?」ー2時間くらい。新幹線から乗り継いで1時間40分くらい。「30分ですか。でも新幹線を使うより早いじゃないですか、どのように?」ー簡単だ、地上設備の改良をする。「全くわかりません」ー線路だな、日豊線の小倉と別府が120㌔、鳥栖と長崎が大体いっしょ、白い(かもめ)ので走るのに前者が70分、後者が105分。「日豊線のあの辺って複線だったように思いますが・・・でもまた地味な話しですね」ーそう大分くらいまで複線、でもそれ以上に速度が違う。
有明海太良 大浦
「まあそれはそうですが。単純に速度だけなら上げれば済む問題では?」ーチョットした理由があるらしく、同じようにするのは無理だな。鹿児島線はともかく長崎線の西、特に鹿島から諫早の間が、単線に加え制限速度区間、停車駅はないけど本数が多い分、減速や運転停車は新型電車だけでは解決にはならないようだ。「チョットした理由っていうのは?」ーそれはあとで言う「わかりました。でどうすれば?」ー線路。信号所等の複線区間を利用して(長く)多くする。増設、もう一本増やして複線化。曲線半径を大きくし、ポイントは20番台で交差角度を緩くする。同時に一番やりたい線路等級も上(鹿児島線北部並み)のランクに上げて軌道強化を図る。と、こんな具合だ。「話を聞くだけだとへえーって感じですが、所要時間が25分短縮ってことですよね?さっきの距離なら単純に平均速度が25%程度は高くなる、40とか50㎞なら・・って思いますが、もっと(速度)高いんですよね?」ー平均で70㎞くらいかな「最高速度を+20%として、さっきの話だと部分的にでも100㎞/hは超えますけど、それってほんとに可能ですか?」ー可能。現状でも10%くらいは上がるんじゃないかと思っとる「それはまた何故?」ーJRに変わった後の(とても高性能とは言えない当時の)485系で最速105分、885系を導入して最速で90分の時もあった。元々最高速度が公証130㎞/h(設計上では150km/h)まで出せ、曲線通過が+30なるにも関わらず、最近の同じ所要時間っておかしくないか?「まあそうですね、もっと早くても全然おかしくない」ーそのとおりだ、時間短縮にもならないのに一編成10億も掛けて振り子式の電車を長崎線に投入、でもほとんどかわらない。最近では振り子すら使ってないようだ・・・「使ってないんですか?」ー多分ない!使って吹っ飛ばせば、所要時間が黒いかもめ(787系)と同じにならない。「じゃあ同一運用にしているからですか?」ーおお、いい答えだが、俺の考えは違うな。「じゃあ電車が古くなったから新しいやつを作ったーですか?」ーそれもあるかもしれんが、新幹線の計画が持ち上がったのは50年くらい前、途中、計画が怪しくなったが、出来ることが前提なら、無くなるところで設備のアップグレードは極力やらない。それに在来線のスピードアップがどんどん進むとどうなる?新幹線のメリットが減ってくるだろうし、過剰設備って事になりかねない・・・ということで新幹線じゃなくても利点がある事を考えてみたわけだ。「なるほど、おもしろそーですね」ーそうやろ、これを発展させるとJR九州や他にもメリットがある。「で、実際どれくらいなりますかね?」ー(長崎ー鳥栖間に限って)現行で105分だが、単純に速度アップと単線における交換を最小にすれば、90分。で、停車駅を諫早、鹿島、佐賀の三つにして停車時間を短くする。最後にと言うか最初にやりたい地上設備を改良して制限速度を上げるとさらに15分くらいは削れる予定、これに博多鳥栖を加えて95分で走れる。どう?ー「細かい事はわかりませんが、なんとか数字は合ってますね」ーそう実際やるともっと早くなるかもしれない。
大浦駅885系×2 フルーツバス停
「それはなぜですか?」ー道路と違って鉄道建設はどこでも出来るわけじゃあないみたいだ。凸凹の道路をアスファルトで軽く補修するのとはわけがちがうからね。隧道、橋梁、軌道敷設など高度な土木技術の集合体だが、今の技術力でやったとすればー「白いかもめ」を150km/hで走らせられる軌道整備ができると思っとる。「今回は軽便じゃなくて新幹線的な線路ですか?お金かかりそうですが・・・」ーそれなりには、でも新幹線1kmあたり70億円くらいらしいから3km分なら改修できんじゃないの?「でもそうすると今走っている新幹線は?」ーそっちは在来線サイズに直してやっぱり885系で今度は200km/hで走らせればいい話。日立の笠戸工場がはりきって新幹線並みの885系‐700番台かなんかを作ってくれるだろ。「在来線で200㎞/hですか?試験的ではなく?」ー在来線ではすでに可能と言われていて、問題は実現させられる路線が無いそうだ。「それだとさっきの在来線は?」ーまあ普通に各駅停車、あと新線を走らない、すなわちスピードを言わないから料金の安い博多行急行とか門司港行夜行列車、あとJRの得意技の旧型ディーゼルのリメイク列車かな。他に貨物列車ーまあこっちは長崎に貨物ヤードが無いので別な議論が必要だが。
「実現性は?」ーある、相当もめるが。でも佐賀県知事は喜んでくれると思っている。
「提案されてみては?」-やっぱり知り合いがおらんのだ。
(続く)