石北本線 旭川から乗ってみた④

本来は引退前の183系「鉄仮面」に乗る予定にしていたのだが、調子にのって宗谷線に続きバスまで乗っていたらタイミングを誤り、「鉄仮面」は退役、気を取直しての道東訪問となりました。
ーで今回は、旭川から。道央最大の街で道北、道東への中継地であり、それなりに大きな駅です。南に行くと有名な美瑛があり、その先、富良野を経由して帯広方面へも行けます。その旭川駅、以前はよくある(地味な)二階建て建屋。地下だったか?小さなお店や食堂などがあり、その閉ざされた空間の中に小さな昭和が残っていました。通路を明るくそのまま(デザインを変えず)で綺麗(丁寧に補修)にしていけばそれはそれで味わい深いものになったろうに・・・と思わなくもありません。かつての建屋、待合室から改札越しにホームが2本(と記憶)合理化で撤去されたレール跡が残ったひろーいヤードの名残で、離れ小島の如く向こう側に富良野線のホームがありました。駅構内がそのままあった頃ー70年代には、稚内や北見、網走へ向かうのに、ここからの夜行列車を乗り換えたこともあって個人的に重宝した駅の一つでした。
改築前は道央最大の街ーとは違ったローカルさが点在していましたが、宗谷に乗った前回で触れたとおり、今では不要のヤード跡を取っ払い、更に高架となって使用するホームのみ、近代的な建物となって、駅の周りとともにコンパクトにリストラクチャリングされています。近辺だと吉塚駅みたいですが、賑わい自体は吉塚駅の圧勝。
改札を通って階段(エスカレータ)を上がり、中二階へ。ガラス越しに駅前からの街並みが見渡せる洒落た作りで小さくてもカフェの一つがあっても良さそうだが、博多駅のように「駅弁でも買ってから・・・」とーいうかコンビニもないほどシンプル。(まあ殺風景とも言いますが・・・)ホームに上がるエスカレータなども、まだ新しいこともあるが、「あのアカ抜けない雰囲気はどこに行った?」と戸惑ってしまうくらいの様変わりです。ホーム上もそばどころか売店もなくさっぱりしたもの。まあ屋根があるとはいえ、吹きっさらしのホームの上、真冬の時期にだれがそばを食べるんだ?一時間に何本の列車が出入りする?を見るに、立ち食いそばやの必要性は見つかりません。隣のショッピングモールで、十分すぎる時間が過ごせそうですが、もし作るならバスターミナルも駅の中に入れて、レトロな造りのモールを復活させて対抗してみては?と思わなくもないところです。。
旭山動物園行きのバスが入って来たところを見計らってホームに上がると、キハ40がもう入線していました。

腰を下ろして10分くらいで出発した。10人程度が乗り込んだディーゼルカー、左側の街並みが遠くまで見えて規模の大きさがうかがえます。新旭川駅辺りから地上に降り始め、宗谷線と別れて南永山、東旭川と停車。ここで上り特急オホーツクと離合。次の桜丘まで来るとめっきり家々が少なくなってきた。
出発後、直線が続き、周りの「らしき」風景に短い間隔のジョイント音が軽やかに響き、徐々に減速して当麻に到着。
遠くに低い山々を見ながら、少し上りとなったか、エンジン音が重くなってきた。
小高い丘のような山々が寄ってきて愛別に到着。
出発してから大きめの鉄橋手前で汽笛がなり、石狩川を渡って蛇行(惰性)運転となり、中愛別に到着しましたが、周りには何も無い。次、安足間!駅・・・なんて読むんだ?あんたろま、えー!読めないや。
沿線で「ネタらしき」ものはないか?と眺めつつ1時間ちょっとで上川に到着し、次の列車を待つことになる。
大抵は(観光)バスで行く所の層雲峡、その入口というべき駅なのでバスの発着があり、駅員さんも在中、清掃も行き届いていた。
特急も止まりますが、普通列車が2本だったか3本だったか・・・上川地方の東端、ここから先は行く手をさえぎるように大雪山系の山々立ちはだかり、生活圏が違うためか遠軽、北見方面にはほとんど列車がありません。
少ない・・・
その数少ないディーゼルカーがやってきた、乗り継ぐ列車は3両編成。定員からだと3両は要らないはずだが、冬季の勾配区間をシングルエンジンのキハ40系ではちょっと不安なんだろう、と推察しながら乗り込み、上り特急と入れ違いで上川駅を出発した。まもなくエンジン音が重くなり、スタート時と速度もあまり変わらず、併走する国道の走る車が、時折かわして行く。右手に高速道路が見えてきたが、たしかここらに天幕っていう駅があったはず・・・左右をきょろきょろするがよく分からない、どうも無くなっているみたいだ。液体クラッチが何度か切り替わり、キツイ勾配を川に沿って山あいを上っていく。蛇行(惰性)運転になり、「やっと」という感じで中越駅に停車した。この先にも上越駅があるのだが、いずれも信号所扱いでもう駅ではない。過疎化の進行か、駅としての存在感も薄れ合理化されてしまったようだが、まあ・・・とにかく周りには何も無い。ここに住むとなるとーどうする?CDを飽きるまでほど堪能できそうだし、毎晩音楽を聴いてみるか?それともボトルシップ製作か・・・?(除雪と薪割りになるかも)・・・地道な趣味を持って篭れば一冬を越せそうだ。
後で知った事だが、上川出発して次の駅白滝まで路線上では約50kmの間駅が無いことになっているのには、びっくり!こんなになっているとは全く知らなかった。

さて中越出発後は国道とも離れ、山あいの谷間を縫い、更に急勾配が続き、エンジン音も更に重くなり、走っても追いつけそうなくらいの速度に落ちてきた。国道や高速道路がくっついたり離れたり・・・狭まっていく山あいに原生林の風景はかわらない。エンジンのうなり音も重く、あえぐように防雪トンネルの入ったところで上越に停車した。出発後、すぐにトンネルに入ったが、上越駅が峠の頂上だったみたいで、一転蛇行運転となり、さっきまでの喘ぎが嘘のように軽やかにかけ下っていく。奥白滝信号所を通過、右手だった国道が今度は左側に。

ちっちゃな集落見えてきた上白滝のはずだが、加速して通過、次の白滝停車し、数人の乗客が降りて一人っきりとなる。緩い下り坂が続いているのか快調に走って行く。下白滝に停車すると久々に上り列車と離合した。峠を越える数少ない列車の一つ、旭川行きの特別快速だ。

出発後も変わらず、低い山々に挟まれて今度は湧別川と併走。丸瀬布に停車、駅舎の反対側に木材の積み出すヤードがあって木材が山積みになっていた記憶がよみがえってきた、何十年も前の話です、もちろんいまは跡形もありませんが・・・。出発後、直線が続いたかと思うと川にそうように右に左にソーイング。これまたちっちゃな瀬戸瀬に停車すると次はスイッチバックの駅、遠軽です。