宗谷本線 特急「宗谷」に乗ってみて ⑥

旭川駅出発からです。(札幌からの前半はこちら)
超様変りした旭川駅を出発、左にカーブして北に向かう。旭川四条、新旭川と市内を抜け、比布駅を通過、その昔に樹木希林さんとのTVCMで有名になった駅だ。まもなく緩い上りとなり、蘭留(ランル)を過ぎた辺りから、上り勾配が更にキツくなった。木々の中を左右にカーブが続き、特急とは思えないくらいの速度に落ちてエンジン音が軽くなったところで峠の頂上、塩狩駅です。対抗列車を見る事もなく通過。

下り坂とともに特急らしく快調に飛ばして次の停車駅、和寒(ワッサム)に到着する。
発車後、平坦で高規格線路に恵まれスピードアップ、合間に放牧された牛が見えてくるので、「・・・らしさ」を撮りたいところだが、カメラを構えてみると意外に水田の方が多い。その上それなりのスピードで時折出てくる防雪林に阻まれシャッターのタイミングが合わない。再び周りが開け始めて剣淵(ケンブチ)辺りでやっと「らしくない」水田より「らしい」農場が増え始めて少し気が楽になった。

町のちょっと外れたところにトヨタのテストコースがある士別(シベツ)に到着。ここで上り宗谷とすれ違う。
(春盛り)
士別を出発、北に向かって快調に走行、天塩川を渡ると再び水田が広がり40号線と並走する。家並みが増えはじめ、到着する手前くらいから旧深名線らしき砂利道が近寄ってきて、名寄(ナヨロ)駅に到着した。南北への宗谷線、旧深名線や旧名寄線の乗り換えや乗り継ぎ駅であったため、レール撤去後も広大なヤード跡が残り、国鉄時代には大きな鉄道拠点であった事が伺えます。ただこの跡地も有効活用は未定(と思う)、札幌近郊とは違いその使い道を考えるとかなり厳しい…。(採算性と初期投資を言わなければアイディアが無いわけではありませんが、それはまた別の機会でも・・・)
珍しく2分停車なのでホームに降りて販売機でコーヒーを買ってきた。それしか無いのもさびしい話ですが、せめて車内販売程度でもあるなら、もうちょっと楽しくなるかもーとは思うものの、とてもかないそうにはありません。

天塩川を左手に見ながら15分程度、小さな町並みが現れて美深(ビフカ)駅に到着、特急停車駅には…ふーむ、とても見えない(そんなこと言ってたらほとんど停車できないだろうーとの声も聞こえそうだが)かつてここから、添田線と並ぶ赤字路線の代名詞、旧美幸線が出ていまして、その終着駅が仁宇布(にうぷ)ってところです。
そこから廃線を利用した(動力式)トロッコに乗れます。夏場の約半年間だけだが、1回で1時間程の乗車、周りに都会的な変化は無いので雨にやられるとサッパリですが、降らなければ、白樺に囲まれ、時折鉄橋を渡る、非日常と十分すぎる解放感が味わえます。オススメは家族単位。

(冬盛り・・・う~サブ!)
札幌から約3時間、時間なりかそれ以上か・・・音威子府(オトイネップ)駅に到着。名寄からは民家がポツポツ見える程度でしたが、久しぶりに集落に・・・でも、ぽつぽつか・・って感じです。規模は「村」それも人口は3桁。今は静かな村だが、かつては旧天北線(浜頓別方面)との分岐駅であり、宗谷線の中間地点で北への鉄道建設拠点だったことから村が発展。3つのホームを持ち、宗谷、天北両線への急行や普通列車の拠点で、小さいながらも貨物ヤードのしつらえがあり、ターンテーブルのある少し煙った小さな機関庫をはじめ、給水、給炭設備、職員の詰め所があって、ジオラマにすると大きからず小さからずの程良い駅!その雰囲気が味わえなくなったのはとっても惜しいなあ!と、今でも思っています。当時は、立食いそばの店がホームにあって(あったと記憶)、その美味さが忘れられず、当時を思い起こしてあるかどうかの確認にホームへちょい降りしてみましたが、見当たらない。一日10本程度の発着しかないのはやっぱ・・ダメか。それとも移動したのか?それとも駅舎にもあるか?それとも・・・今後の課題です。
(その後、浜頓別行バスに乗ることになった時の事、以前から休業していたことを知る。いろんな状況から再開することはないであろうと聞いていたところ、今年になってご主人が亡くなられたとの話を道の駅で聞いた。
あの「まっ黒いソバ」は、二代に渡り100年もの歴史があり、自分が初めて食べたのは先代の時だったらしい。休業後、道の駅でその生そばが売られていたが、レシピを「引き継がせる」こともなく廃版、現在は地元で作られてはいるが、別のものとなっている。復活も望みたいが、新たなソバも新たな歴史を刻めることを期待したい)
(咲来駅)
音威子府を出発すると旧天北線と別れるように左に大きくカーブし天塩川とベッタリとランデブー、「北海道ぽく」はありませんが、対岸の山手からの鉄道写真の撮影はお勧めの一枚です。川から別れて、10分程度でパステルカラーの小綺麗な家が周りに見える天塩中川駅に停車。乗降客はありまんが、散歩?の小学生の見送りがありました。
集落はおろか駅名もわからない片側ホームの駅を通過、それまで抜ける青空だったのに。問寒別(そのままトイカンベツ)駅あたりから曇ってきた。天塩川沿いの護岸が工事のため徐行運転。

名寄からの地上設備(線路)のダウングレードと春先のダイヤ改正によるスピード制限がかかり、宗谷(261系)的には全く面白くないスピードで北に向かっています。ま、いわゆるダラダラみたいな状態ですが、これはこれで景色と時間を楽しむには十分で、これだとやっぱりビュッフェがほしくなります。

大昔、軽便があった幌延(ホロノベ)駅に到着、駅員さんの姿がみえました。駅の端に少なからずコンテナが見えたので貨物取り扱いがあるようだ。

次の豊富(トヨトミ)で内陸部から日本海(側)に出て来ました、といっても海が見えるわけではありません。相変わらず曇り空、晴れてくれないかなあって祈る気持ちです。

兜沼を過ぎる辺りから一般にイメージするところの風景になります、サロベツ原野です。ただ、列車内からだと熊笹の生い茂った台地?や草原みたいなところを走っていて、ボヤっと眺めただけだと山ん中との違いがわかりません。ところどころ開けた所に出る(から見える)と牧草地が広がり、ポツンぽつんと家が点在しそうなのが、そうかなあって思わなくもない光景です。お、抜海(バッカイ)駅を通過しました。
この駅から歩いて約30分くらいで、港のある(抜海)集落に出ます。天候が何とかなれば夕景の利尻島が秀逸、中々お目にかかれない(はずな)ので、当たった時の訪問者には、ラッキイそのもの。小さいお宿が一軒、JRだとこの上もなく、大雑把な時間の使える方のみおススメです。

(のち訪問、こんな感じであとは天候)
熊笹の生い茂る台地(原野)を上ること5分程度、熊笹の原野から急に視界が大きく開けて、唯一の海の見える最高のロケーション!天気に恵まれると海の向こうに利尻島が浮かびますが、今日もあいにく天候、残念ですが、またもや利尻富士は空振りです。

下り始めてまもなくすると家々が見え、ゆったりとした速度で南稚内駅に滑り込み乗務員はここで交代。出発後まもなく右手に港が見え、減速していくと終点の稚内駅到着です。
さて、帰りは「サロベツ」かそれともバスで行くか・・・