バリトンサックスを(魔が差して)何とかしてみた②

YBS61ヤマハのバリトンサックス、知り合いから譲ってもらったが、あれこれ理由がついて手放すことになったのが、うちに来た理由です。
ラッカーは全くなく、アンダーとオーバーリペアから成り立つ、よくこんな手間をかけたものだーと感心する謎の楽器だ。
かれこれ40年くらいは前のもの、現役で活躍しているものを見るのは珍しいが、メインではないとしてもサブとして、見かけることは多い。現行モデルとは違い管体剛性やキイメカニズムなど、使い勝手などちょっと稚拙。比較の対象にはならないが、管体の完成度からいうと現行のYBS62の方が圧倒的に高い。だがある面で独特のサウンドを持ち、エッジのタチが独特、過大な期待をしなければリーズナブルで普通に楽しく吹ける楽器でひそかなファンらしきプレイヤーも多い。
したがってこのままパッド交換し調整、普通に中古品として販売すれば、なにも考えなくて終わる。少々手をかけたからといって最近のような楽器に成り代わることもないだろうーなあ・・・なんて想いにふけっていた。でも分解をはじめて(困ったことに)ちょっと気が変わる。フーム・・・ちょっと・・・いやかなり気に食わない・・・せっかくなんで真面目に直してみようって魔が差したのが、やっかいな「改」の始まりです。
キイを全部外したところで、やっぱり「気に食わない」ことが判明。まずバリトンサックスにおける根本的曲がり、主に2番管部分。二番目にその2番管と1番管(ベル部)のつけ方、三番目に2番管と3,4番管の部品欠損と取り付け方に問題を発見した。まあほかにも細かいところを言い始めるとキリがありません。

【ベルのハンダ跡がオリジナルステー跡・2番管側のネジはオリジナルステー取付部】

オリジナルの一番の難点はベルとの取付ステー、ベルが(左右に)グラグラと動く(首を振る)し、楽器の大きさと比較していかにも剛性がない。元々事故にあったか修復痕があり、そのダメージは少し(でないかもしれない程度に)ある、管の凹みと言うかつぶれと言うか・・・。まっどっちにしても「近い」ところまで直しておかないと、新たな台座を付けた時に苦労することになります。
二番管とU字管(一番管)の接続が最も時間(神経)を使うところ。”LowB”以下のキイが「普通」に閉じるようになるには、回転方向(ベルの向き)と振れ(二番管に対する傾き)が一致すること。
仮付けを三回繰返して本付け、本来ならば一番の山場、力が入って詳しく書きたいところだが、「極座標」を説明できないため、写真同様結果のみで勘弁してもらった。今回は一番たいへんだったところのリポートで、追々忘れた頃に追加の予定。今回はここまでです。

【ダブルアームと変形防止で作ったロウキイ】
ビフォアー・アフターで写真と解説が入れば中々の自慢話にもなるのだが、元々そんなことを意識することもなく、記念に残した写真のみ。現物はもうありませんが、たまに見ることはできます、タイミングが合えばの話ですが。