B♭ Trumpet V.Bach “198 Vintage” Limited Edtion ”F”

B♭Trumpet
ブランド名:V.Bach (=Conn-Selmer,Inc)
型式・仕様:Bach 198 Vintage Limited Edition 2000・#6 BellGB,#6 Lead Pipe,Light Weight
トランペットプレーヤーの方なら良くご存知のバックですが、最も一般的なのは#37ベル/#25リードパイプのMLボア。プロ、アマを問わず、よく使用されており皆さんがよ~くご存知のスタンダードモデルですね。今回はBach 198 Vintageを取り上げてみました。
Bach 198 Decoration Bottan Bach 198 Vintage Special Engraving
***では、今回の仕様の説明を簡単にお願いします。
スタンダードモデルに装着されている#25リードパイプより抵抗感の少ない(と言われる)#6パイプが装着されています。レシーバーの長さも違いますね。ベルの方も#6で、スタンダード(#37)ベルのベースになったものだと聞いた事がありますが、そうなのかどうかを含め、具体的に何がどのように違うのかよくわかりません。(でもフレア―は、より細身のように見えますが…?)材質はイエローブラスより銅の比率が高いゴールドブラスを使用。ボディはライトウェイトの軽量タイプで、2000年に発売された、ミレニアムを記念した2,000本限定生産モデルですね。

***なるほど、それにしてもインパクトのあるルックスですね。
バックの工場がNew York(#1)にあった頃に生産されていた仕様(#6のベル&マウスパイプ)をベースとした復刻版のようです。ルックスは当時と違うとは思いますが、使い勝手とか、現行品とほとんど変わりません。
それにしてもゴージャスですね… シルヴァープレートに、ゴールドプレートトリムキット、化粧石のフィンガーボタン、インナーGPの特別彫刻入りのベル…うーんなんとも豪華…、”Vintage”というより”Festival”といった方がイメージ的には合うかもしれません。(なんかクランポンのクラリネットみたいな表現…)
この辺はミレニアムを意識してのメモリアルモデルの仕様だと思いますが。
bach 198 1st & 2nd Hexagon Bach 198 Gold Plate Trim Kit
延べ座(マウスパイプとベルをつないでいるリンケージ)が大きくて長めになっています。それから1番管と2番管にカニ目(ヘキサゴンタイプ)が付いていて、マウスピースレシーヴァーも長くなっているのが主なところです。シリアルナンバーも2000本限定らしいので4桁の通し番号で表示されていますね。それと外見上は分かりませんが、ライトウェイトボディにスタンダードウェイトのベルと言うのは、リヴァース(LR180…)モデルぐらいなので、この辺りの組み合わせ(#2)もスタンダード…レギュラーモデルと違う特別仕様と言えるかもしれません。

***さて、「中身」の方はどうですか?
(バックにしては)楽器も軽めで、低音域から高音域まで、スムーズにエアーが入り、音の立ち上がり…レスポンスが大変いいですね。
この辺りはライトウェイトボディだからという事もありますが、リードパイプとベルなどの組み合わせなどの構造面…作り方っていうのか、そういうのによるところも大きいかもしれません。少し吹いた感じだと素直でエアーもよく入るし吹き易い楽器かな?と思いました。
(しかし、しばらく試奏の後)うーん…でも意外とクセが有りそうですね。サウンドとの兼ね合いだと思いますが、スタンダードに比べモニター性がかなり違うような気がします。鳴り方も従来のモデルより(ヘビーベルタイプのように)コンパクトにまとまっていて、バック特有の広がりや濁り感(=良い意味での)っていうのか、そういうのがあまり感じられません。前にも言いましたが、抵抗感も思いの他、(バックにしては)かなり少ないようだし…。
音色は暗い…落ち着いた感じかな?(凝縮されたような)キメが細かく濃厚…、スタンダードのバックでは、ちょっと味わえないクリアーで個性的なサウンドと言えるものかも。ちょっと表現が難しいのですが…。
Bach 198 Vintage Limited Edition

***なるほど、クセモノというか外見同様に個性が強いと‥
外観のようなハデな音色ではありませんけど‥。吹奏感や鳴り方など、吹けば吹くほど(印象が)変わりそうな気がします。「バック」だと思い込まず、従来とは違うアプローチでスマートにプレイする方が良い結果を得られるかもしれません。そう言う点では、変わった…おもしろい、個性的な楽器とは言えそうですね。

***では、まとめて頂くと
N.Y Bachの復刻版として限定生産されたモデルですが、外見は別として ちょっと懐かしさを感じるような「香り」はします。それから(音色の)雰囲気も出ていると思いますね。ソフティに吹いた時のファジーな辺りとか…。その他だとサウンドにもスタンダードとは違う「キレ」がありそうだし、メリハリも付け易い印象ですね。
反面、前にも言いましたが、バーンって言うか…従来のバックにあるような重量感のあるサウンドとは違うようですから、その点での好みが分かれるとは思います。よりクリアーでまとまり感あるなサウンドが好きな方とか、おススメですね。あと意外とバックユーザーで無い方とかが面白そうかもしれません。
以上、個人的な印象ですが、もしよかったら参考にしてください。ありがとうございました。

と、レポートしたこの楽器もなんと!KさんやO君のおかげで最後の在庫となりました。(不良在庫とも言われますが、先ほどのO君のように「生まれた年ですね}っていう考え方もあります)販売(生産)期間も2000本が作られていたメーカー統合前の2003年ころまで。長期在庫で仲良くなりすぎて中々手元から離れてくれず、「中々理解してくれるプレイヤー少ないなあ」とぼやきながらも楽しくすごさせて頂きました。こんなことになったのも、当時の販売価格は40万円ほど。その頃のスタンダードが20万円台で買えたことを思うとかなり敷居の高いモデルです。加えてレポートにあるような特徴が、あろうことか根っからのバックユーザーの方には、あまり好まれず発売当初は大苦戦。そんなところからこのレポートが始まってほんの少しだけ「そんな楽器なんだ」と理解が進み現在に至ります。
2001~02年製造でもちろん新品です。派手さと古さを競う(最後の)一品・・・でしたが、最後の理解者が来店していただき完売となりました。
税込販売価格Sold Out

Note:
#1:創業はNew York。その後同じNew York のMt Vernonに工場を移転。現在はエルクハートにて生産。(⇒トランペットマウスピース:バックスタンダードの項)
#2:最近ではモデル197(ニューヨーク7)も同じ仕様です。
(15年ほど前、スペシャルレポートとしてアップしたことがありましたが、このたび新たな在庫を発掘したことにより新サイトにて再登場となりました。)