楽器はモダン、サウンドはクラシカル、ヨーロッパの薫り、あのセルマーのトランペット③

ブランド名:Selmer
型式・仕様:C703・C-key SP
フランスのセルマー社、元を正せばクラリネットの制作がはじめらしい。その後、総合楽器メーカとなったが、サックス有名過ぎてそれ以外が、あまり浸透していないのは、日本では仕方のないところ、クラリネット吹き以外のプレーヤーなら「サックス」という答えが順当なところだろう。

さてトランペット、いつの間に作ったんだろう?ーって感じだが、歴史は意外と古い。1920年代と言うからサックスとあまり変わらない時期で、けっこう古くから登場する。H,ジェイムスとかL,アームストロングらが使ったとされるバランスモデルとか「フロントミッドシップ」的な特異形状のKモディファイだのが、(一部で)有名らしくその形状から見覚えがあるかもしれない。
だが・・・そういうオールド物を語るなら、バックの方が知名度も人気も(日本では)めっちゃ高い。セルマーの方が古くて(と言ってもほんのちょっとだが)地道に作り続けているのにヨーロッパであるが故なのか(ーどうかはわからないが)日本では数が少なく(結果的に)マニアックなトランペットになってしまったようだ。だが数は少なくとも(意外にも)力の入ったトランペットを制作していて、先ほどのようにアメリカ人がどっから手に入れたんだ?みたいな個性的なものだけでなく、モーリスアンドレとも60年代の半ばから約20年もの間、お友達関係を続けて、バロック音楽をやって(一部では)相当有名になったあのピッコロトランペットも送り出している。その後、関係が解消(Mark7後のスーパーアクションの発表を控えてサックスに集中したい時期だったのか・・・)し、10年くらい謎の空白期間を経て従来(オールドモノ)のコンセプトから考えると椅子から転げ落ちるほど、あまりにもフツーすぎる”CHOLUS”を発表こととなる。

密かというか、いつの間にか登場したのが、”CHOLUS 80″(←90年代の終わりの方に登場)ジャズモノを意図したわけではないだろうが、方向性のはっきりした楽器であり、吹奏感にクセもなくよくできていると、個人的には評価しています。(サテンシルヴァーで登場した「ミレニアム」はこのモデル)発売当時は手頃な価格と暗めの音色や渋いサテンラッカーの外観など、知名度とは全く無縁でジャズユースに密かな人気がありました。
ーと長い前置きになりながら、今回はそのCHOLUSではなく、その前に発売されたC管のERAⅡ。B管もあまり見かけないくらいだから、C管になると情報含めて、いつ発売されたんだっていうくらい・・・・もっとない。当初は他メーカと変わらない程度の販売価格で「高値(嶺)の花」いうことではなさそうだ。思うにトランペットは、日本の場合、管楽器の中では激戦とも言えるが、わざわざセルマーのトランペットを在庫(指名)しなくても、他にもいっぱいあるだろう(って声も聞こえてきそうだし)そんなこともあるのか、中々お目にかかることもなく、試奏はおろか所持するプレーヤーにもあやかれないので浸透しにくかったのだろうと思う(でも、その困難をかいくぐってどこかで手に入れたのは、ある面奇跡的な出来事でもあるが・・・)

好みや流行り、定番に奔れば手に取るプレーヤーは少なくなるが、トランペットがメジャーじゃなくてもセルマーはセルマーだ。さっきのようにM.アンドレとも仲良しだったくらいなので、個性の光る楽器を作ってくれている。透き通る透明感、華やかさのある明るい音色で、いかにもC管らしく、(独断でのおススメが)弦楽器主体の小さなオーケストラでの居心地が良さそう。大きな編成がダメなわけではない、あくまでもこういうのが向いているんではないかーっていうお話で、前所有者もそこで活躍していたそうだ。使ってみなきゃーわからない!この感覚。
大きなキズ、凹み修復痕、メッキ剥がれ等々、目立つようなダメージはなく、紳士的な使用をうかがわせます。1番チューニングスライドをフックからオートトリガーに改造(と、言っても大したものじゃあない)。
税込販売価格¥154,000です。